銭湯-上巻- (#86 wise)



honey達なら分かってくれてると思うけど、
wiseは、

下界の出来事


をあまり知らないんだ。

だから、サウナや銭湯がブームになっているとか本当に知らないんだよ。
原田泰造さん主演でサウナを題材にしたテレビドラマがあるって事も、もちろん知らない。

知る由もないのさ





それはさておき、wiseは銭湯というものに行ってみたくなったんだよ。なぜか突然思い立ったんだ。

すごく不思議だよね?




下界の事を知らないwiseは、当然だけど銭湯という所にあまり行った事がない。

何回かはある

正確には結構ある


だから荒川区の良い銭湯を教えてくれと、1人のワイ人(wiseの友人)に問いただしたんだ。

彼の名は、

ジョン


イングランド出身の、クールでヒップでファンシーでビッグな男さ。

何がビッグかと言うと靴のサイズなんだ

L:ジョンの靴     R:wiseの靴


ジョンの靴のサイズは世界の序列や成り立ち等、様々なことを教えてくれる。


だから良い銭湯もジョンが教えてくれる、と言うよりもジョンの靴のサイズが教えてくれるんだ。


「お勧めの銭湯があるジョン。人気があるジョンし、なにより清潔感があるジョン。」



こうしてwiseは一人で、ジョンの靴のサイズが教えてくれた銭湯に行く事になったんだ。


荒川区尾久『梅の湯』

綺麗な外観だろ?


ジョンの靴のサイズが教えてくれた通り、かなり人気があるようだ。駐輪場にはなかなか多くの自転車が停まっていた。

下駄箱にグレーのクロックスをしまい、鍵を引き抜く。

wiseは遂に銭湯に

足を踏み入れたんだ


正直言って、緊張していた。

常連さんにナメられたらおしまい


そこで思いついた。
wiseは銭湯マニアになりきるんだ。wiseは全国の銭湯を練り歩く、銭湯のプロ。wiseが訪れる銭湯は銭湯界でも一皮剥ける事ができる。

wiseは演じる事に決めた


そう決めたらwiseは凄いんだ。ミスは絶対に犯さない。吉田栄作さんの様に完璧に役に入り込む。
wiseの中で、監督の声が響いた。

『3、、2、、1、、アクション!!』



ロビーに入る。
なるほど多くの客で賑わっていた。みんな髪の毛が濡れている為、入り終わった人達なんだろう。
火照った顔で満足そうにリクライニングチェアーに座り、備え付けの雑誌や漫画を読んだりし過ごしていた。
あまりキョロキョロと見回すと初心者丸出しになってしまう為、すぐに首をグリグリと回した。首や肩が凝っているような素振りをしたのさ。

それで良い

名演技さwise

緊張している人間は首や肩が

凝ってる事など気にならないからね


カウンターに目をやると、女性店員が男性客の接客をしていた。タオルを借りているようだ。


wiseは緊張を悟られないよう、大きなアクビをし目をこすりながら男性の後ろに並んだ。

完璧だ

名演技だよwise

緊張してる人間は眠くならないからね


すると女性は入口の方を指差しながら、wiseに衝撃の言葉を投げかけてきたんだ。

「現金の方は、券売機でチケットを購入してください。」


、、、、理解できなかった。耳から入ってきた情報はしっかりと脳に伝達された。
だけど脳が理解する事を拒否したんだ。


嘘だろ?

券売機だと?

待ってくれよ

俺様は銭湯のプロだぜ?

そんなミスは絶対に犯さない


彼女の靴のサイズはカウンターで隠れて分からない。
恐る恐る彼女が指差す先を追った。ゆっくりと時間をかけて。そんな事をしてもその時は確実に訪れるのにね。

確かにあった

そこには確かに存在した

ピカピカの券売機が



やってしまったんだ

入口からね






〜明日の中巻に続く〜


It's time to say good−bye

 I love you,L'Arc〜en〜Ciel 

With love, 

From wise