恐怖の小学生 (#169 wise)
wiseが荒川区の公園のベンチで『ニューヨーカーごっこ』をしていた時のことなんだけどさ。
ひとりでね
ん?
なんだい?
「ニューヨーカーごっこって何ですか?」
だって?
読んで字の如く
ニューヨーカーごっこだよ
現在地をセントラルパークと仮定し、スターバックスのコーヒーとサンドウィッチを胃に流し込んでいると仮定する。
さらにMacintoshノートパソコンのキーボードをブラインドタッチしていると仮定し時を過ごすという、
wiseオリジナルの遊びさ
すごく楽しいからhoney達もやってみてよ。絶対に、
ひとりでね
ひとりでやるってのが一番大事なんだ。
とにかく公園でニューヨーカーごっこをしていると、小学生の高学年くらいの子供達が6人程ゾロゾロと遊びに来たんだ。
ブランコをしたり追いかけっこをしたりしていた。
ニューヨーカーwiseは、
「ほう、あんな大きな小学生も公園で遊ぶんだなぁ。すごく小学生だよね?」
と、ブラインドタッチの手を休めると仮定し微笑ましく眺めていた。
やがてブラインドタッチを再開すると仮定したwiseは、公園の入り口の方から
なにやら異質なオーラ
を感じ、再びブラインドタッチの手を休めると仮定した。
近年稀に見るヤンキー
だった。
彼はひとりだったけど、もちろんニューヨーカーごっこをしにきたわけではなかった。
タバコ
いや
『ヤニ』
を吸いにきたのだった
いわゆる『ヤニ切れ』だろう。
ヤンキーを久しぶりに見たwiseは、なんだか懐かしい友人を見つけたような気持ちになった。
ヤニ切れ君の髪の毛は金髪パーマで、まるでライオンの立て髪のように四方八方に飛び散っている。
しかも短髪ではなく20センチくらいの髪の長さの為、顔と認識する部位がかなりデカい。
ヤニ切れ君はダボダボのジーンズを腰履きし、黒と赤を基調としたスカジャンのような物を羽織っていた。
ヤニ切れ君の背は低めで猫背気味だ。
wiseがスターバックスのサンドウィッチを頬張ると仮定しながら、観察していると、
驚くべき声が聞こえたんだ
例の小学生達の声だった。ヤニ切れ君からは20メートルくらいしか離れていない。
A君「やべー!カズレーザーみてーな奴がいる!」
ヤニ切れ君をバッチリ見つめながらだ
B君「ほんとだ!カズレーザーみてーだ!」
ヤニ切れ君をしっかり指差している
C君「おいおいおいおいおいおい!本物のカズレーザーじゃねー!?」
カズレーザーではない
Dちゃん「荒川にカズレーザーいないでしょ!」
すごくwiseの言葉を代弁してくれたよね
Eちゃん「いないない!」
Dちゃんの事を慕っているんだろう
F君「そりゃそうでゲス」
どこ出身なんだい?
wiseはハッとヤニ切れ君を見た。いや、ヤニはもう吸っていたからヤニ君だ。
小学生A~Dはかなりの声量。ヤニ君に聴こえないはずはない距離だ。
今考えるとヤニ君は、あんな見た目をしているけど優しいやつ。聴こえないフリをし、公園から去って行った。
wiseはスターバックスの濃い冷めたコーヒーを啜ると仮定しながら、「何事もなくて良かった」とヤニ君を見送った。
しかし
しかしである
小学生ってのは
これだけでは
終わるような
生優しい存在ではない
先ほど「本物のカズレーザーじゃね?」と言い放った"ベストof調子乗り小学生"のD君が、
ヤニ君を追いかけるように
公園を飛び出したのだ
wiseは「ウソだろ?ウソですよね?」と立ち上がり、Macintoshにコーヒーをぶちまけたと仮定した。
ヤニ君は既にwiseからは見えない所まで歩いている。でもwiseからC君は見えている。
するとある音が聴こえてきたんだ。
"シャシャシャシャシャシャシャッ"
C君はスマホで
写メを連写していた
そして満足げに帰ってきたんだ。「カズレーザーじゃなかったわ!」と叫びながら。
知っているよ
そこにいる全員がね
カズレーザーなんかじゃない
wiseは「何事もなくて良かった」とMacintoshに溢したと仮定したコーヒーをハンカチーフで拭くと仮定しながら心底ホッとすると仮定した。
そしてwiseもニューヨーカーごっこを切り上げ、公園を後にした。
そして、
「いやぁ〜!!今時の小学生!!!すごく怖いよねぇ〜〜!!!!?」
と、ハイトーンのシャウトで叫びながら歩いていると、数メートル先のバス停で
ヤニ君がバスを待っていた
いや、もうヤニ君ではない。バス待ち君だ。
バス待ち君は今考えると良いやつ。小学生C君の連写攻撃にも耐え抜いたんだ。
もの凄い忍耐力を持つ
バス待ち君なのだ
心なしか猫背が最初より強くなっている気がした。
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